高額査定の落とし穴

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先日不動産仲介の仕組みと不動産の査定に関する注意点をご紹介しました。

その中で相場ではありえないような高額な金額を提示する不動産会社があると少しだけ触れました。

本日は前回少し触れました「高額査定」の落とし穴を私なりの観点でご紹介したいと思います。

不動産一括査定をご存知ですか?

家の査定もネットで依頼する時代。

【不動産 売却】なんてキーワードで検索すれば、とにかくいっぱい出てきます。

当初はこのような一括査定サイトはなく、一般の利用者さまも目新しさから利用されることになりました。

しかし、今となっては類似サイトが爆発的に増えてしまったことから、利用者も分散してしまい、不動産会社としても複数の査定サイトに登録せざるを得なくなりました。

一括査定サイトは今や「飽和状態」となってきています。

一括査定サイトの仕組みについて

ここで少し「一括査定サイト」の仕組みをご紹介させていただきます。

消費者・・・手軽に複数の不動産会社に査定の依頼が出来、査定額を聞くことが出来る。

不動産会社・・・反響課金制・お客さんからの査定依頼が1件あるごとに1万円程度の使用料を運営会社に支払うシステム。不動産会社にしてみれば10件で1件でも売却依頼を獲得できれば元が取れるという手軽さが売り。

しかし、不動産会社からしてみれば問い合わせに関する「反響単価」は安いものの、登録会社数件に査定依頼のメールが一斉に届くため、他社との競争は避けられず、成約単価が非常に悪いのが実情です。

そして、どうしても媒介契約を取ろうとするために強引な営業になりがちなのが「一括査定のデメリット」です。

結果、以前にもお話した「根拠のない高額査定」に繋がっていきます。

高額査定の落とし穴

相場以上の金額で売り出した結果、ごくまれに売れるケースも当然ございます。

しかし、そんなケースは本当にまれです。

査定するうえで重要なのは「不動産会社として適正な金額を根拠立ててしっかり依頼者に伝えているか」だと私は考えています。

そのうえで、依頼者さんのご意向をお聞きし、希望価格で売り出すことは十分あります。

※例)「住宅ローン」の残債があり、それ以下では売り出せないため、致し方なく相場より高値で売り出さざるを得ないような場合など。

高値で売り出すことによる弊害

たとえば相場で2000万円の物件を「この物件だったらうちの販売力なら2500万円で売れますよ!」と査定されたらどうでしょう?ちょっと嬉しくなって、その会社さんに任せようと思いませんか?

ところが、実際はその価格で売れる保証なんてありません。

そもそも、目的が「売却依頼を取ること」になってしまっているので、これでは査定をしているとは言えません。

不動産会社(担当者)は、あなたが不動産の事情を知らない素人であることをいいことに、本来伝えるべき情報をお伝えしていないことが考えられます。

伝えるべきことを伝えずそういった担当者にご売却を任せてしまうと、のちに「損をする」ことは明白です。

最近の査定事情は「査定額の120%で売り出しましょう。当社はネームバリューがありますから!」と家の査定とは全く根拠のない謳い文句を武器に売却の依頼を取る大手不動産会社も後を絶ちません。

しかし間違ってはいけないのは、前回もお伝えした通り、買うのは「一般消費者」であり、査定金額を提示した「不動産会社」ではないということです。

それを勘違いされてしまい、依頼してしまう売主さまも少なくありません。

売れもしない高値で査定をした結果「反響が少ないので価格を下げましょう。」と不動産会社が提示した金額にもかかわらず、しかも「ネームバリューがありますから」なんて言っておきながら、価格を下げられる始末。

つまり、高く売り出しても、安くなる可能性が高い!ということになります。

結果的には当初の査定金額よりも低い価格で売ったという実例はたくさんあります。

ひょっとしたら相場や物件の状態、周辺の売れ行き動向によっては+αくらいで売れたかもしれません。

販売の期間は通常3ヶ月です。しかし売れずに売り出し期間が長引けば、消費者の目からしてみれば「売れ残り物件」という印象を与えてしまいます。

そうなると「もう少し待てば値が下がるんじゃないか?」「困っていはるやろうし、大きく値を下げてくれるだろう」という風に見られがちです。

このように長引いたり、端に売れないだけの話であればまだいいのですが、そうした場合において、住宅ローンの支払いに困って売りたい方は売れるまでローンを支払い続けなければいけない。

買い替えにおいて新居と旧宅と二重ローンを払っているような場合、当初提示された(高額)査定額を信じ込んだばかりに実際売れた額の差によって家計の計画が大きく狂うかもしれません。

一般媒介契約の仕組みについて

前回は専属(専任)媒介契約の仕組みをご紹介しました。

今回はもうひとつの媒介契約方式「一般媒介契約」の仕組みをご紹介します。

一般媒介契約とは、依頼者さまが複数の不動産会社と同時に販売の依頼をすることが出来るといったもの。

図式にするとこんな感じです。

○メリット

依頼者が自身で複数の会社に依頼しているので、不動産会社は「物件の囲い込み」が出来ない。

※「物件の囲い込み」とは専属(専任)媒介契約の場合、窓口の一社がほかの不動産会社に情報を提供せず、不動産を寝かしつけてしまう状態のこと。

×デメリット

依頼者が逐一不動産会社に情報を一斉に連絡しないといけない(手間がかかる)

※申し込みが入ったときや金額を引き下げたときなど

意外と知られていないことですが、場合によってはこの契約方式の方がいい場合があります。

専属契約を締結したがる理由。

売主側の仲介業者になることで買主さんを見つけてくれば売主さん買主さん双方から手数料をいただけます。

最悪でも売主さんからは手数料が確保できるので、広告経費をかけたとしても費用の回収が確実にできるというメリットがあります。

なので、上記のように売主さんに「煩わしい手間をかけないようにしましょう。」とデメリットを盾に専属契約を促すケースがほとんどです。

一方、一般媒介契約の場合「買主さんを見つけてきた会社が両方から手数料をいただけるので早いもの勝ち」になるので、売主さんの手間はかかりますが、逆を言えば競い合わせる上ではこの方が早期に高く売れるケースもあります。

これらを踏まえたうえでの不動産売却アドバイス

高く査定することは簡単です。

複数の不動産会社に査定を依頼するのは、むしろした方がいいと私は思います。

ただ出来れば一括で依頼するのではなく、個別に不動産会社のホームページなどをよくみて1社ずつ無理のない範囲で比較検討されることをオススメいたします。

そして、やはり大事なのは「あなたとその営業マンとの相性」ではないでしょうか?

高い査定を出されれば、売主様はうれしくなるものです。

間違ってはいけないのは不動産会社の仕事は高く査定して「喜んでいただくこと」ではなく、その不動産を買いたいという顧客を「探す」ことです。

良いことばかり言う人より「言いにくいことすらしっかり本音で伝えてくれる人。」

大切な財産を扱う仕事だからこそ「この人なら信頼して任せられる」と感じられる営業マンに出会えることが「ご売却成功の秘訣」なのではないかと私は思います。

それをしっかり念頭にいれていただき、ご売却なされる際はご依頼されることをオススメいたします。

 

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